中ぱっぱ

はじめちょろちょろ中ぱっぱ、赤子泣くまで蓋とるな

「夜に生きる」 (映画に鳴る音 Vol.1)

 

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映画を包丁ですぱんと二枚におろすと、音と映像の切り身になる。

これは音に耳を澄ませば、という話。

 

 

ベン・アフレックの喋りごえは丸くツバが絡んだ高い声で、田舎のやんちゃ感が拭えません。「グッドウィルハンティング」と出世作はじめ、そのイメージを受け止め前進してきました。

スキャンダルで嫌われ者になってあっちこっち回り回ってアカデミー賞で登壇した枠は監督賞でした。そんな彼の監督最新作「夜に生きる」を今、観ています。

正確には映画を観て40分ほど経ったところで、ある緊急事態に気づき、一時停止ボタンに手を伸ばしスマホに向かっています。

この映画では音が鳴りません。

 

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映画の音は大雑把に分けて3つあります。セリフとSEと環境音。

映像編集を齧った程度の知識で語りますが、この3つは全く別物として映像に合わせて録音、整音、ミキシングと段階を踏みます。

この映画では音が鳴りません。

と言ったのも、3つ目の環境音が全くと言って良いほど本作には存在しません。

ベンアフレック演じる主人公とその親父と情婦が満杯になった飯屋で三角関係を呈する場面。ベンアフレックの顔を捉える画では背景に女性が映り、親父の背景にはスーツ姿の男性がいます。映像ではエキストラを使いキャラクターを端的に説明する演出がなされている一方、エキストラの食事会話の音が全くと言って良いほどしないのです。

 

他にも街からドアを開け部屋に入った途端、街の音は無化します。ベンアフレックの喋り声のガキ感含め、音が苦痛で止めてしまったのは初体験でした。